コラム

九州教区 慶讃法要お待ち受け大会(午後の部)

 2022年4月10日(日)熊本城ホールを会場に九州教区慶讃法要お待ち受け大会が開催されました。午後の部の様子をレポートします。

(午後の部・お待ち受け法要厳修・記念イベント・記念講演真城義麿氏)

  

 午後の部は12時30分過ぎから受付開始。新型コロナウィルスの影響もあり、事前のスタッフ打ち合わせでは参拝者が少ないかもしれないと聞き案じていましたが、当日は1,254名の方が来場し、心配は杞憂(きゆう)に終わりました。受付前の長いエスカレーターを登っていくと、右側壁面に九州大谷短期大学の企画したモザイクアートが映し出されていました。このモザイクアートは、九州にある大谷保育協会加盟園の園児らが「人と生まれて」をテーマに描いた数百点の絵を集めて、ひとつの巨大な蓮の花を表現した作品です。新型コロナウィルス流行下にあっても、子どもたちの繋がりが感じられるような作品にしたいとの思いから制作されました。肉眼で見ると、一見分かりにくいですが、スマートフォンで撮影すると、蓮の花の形がくっきり浮かび上がるのがデジタルアートの面白さだと感じました。

 午後の日程は、開会の辞、真宗宗歌、その後、古賀堅志参務からご挨拶を頂きました。古賀参務は、午前の部が盛会に終わったことに感謝を述べられ、慶讃法要を勝縁とした宗門の基盤作りとなる基本方針

「新たな教化体制の構築」

「本願念仏に生きる人の誕生と新たな場の創造」

「あらゆる人に向けた真宗の教えの発信」

を示されました。現在は新型コロナウィルス感染症により、真宗が伝統的に大事にしてきた聴聞・語り合いの場が奪われています。その中であっても聞こえてくる門徒さんの念仏の声は、「今だからこそ念仏申せ」という促しとして響いてきます。新型コロナウィルスの感染拡大による様々な影響で、生きづらさ・孤独を募らせている現実の中ではあっても、互いを「かけがえのないひとり」として尊び合う世界があります。友よ同朋よと呼びかけられる世界があると知らせんとする呼び声こそが、「南無阿弥陀仏」なのであると、慶讃法要テーマに寄せて述べられました。「お待ち受け大会は、その準備段階も含めたすべてが慶讃の営み」という言葉には、スタッフへの労いの心が感じられました。

 続く法要では、ステージ上に荘厳されたご本尊を前に僧侶が出仕し、参加者の声も相まって、正信偈がホールいっぱいに響き渡りました。

 その後、大谷暢裕門首よりご挨拶をいただきました。

「現代を生きる一人の人間として、今ほど浄土真宗の念仏の教えが求められている時代はないと感じています。不安ばかり募る世の中ですが、私たちには「愚の大地」「凡夫としての私一人」という宗祖のお示しくださった帰依処があります。」

と述べられました。慶讃法要という勝縁により、改めて本願念仏のみ教えに生きようという呼びかけに、御門首の慶讃法要への静かな情熱を拝見させて頂きました。

 休憩の後、水前寺清子さんの記念イベントが始まりました。おなじみの「三百六十五歩のマーチ」、「ありがとうの歌」「いっぽんどっこの唄」「熊本城」と、次々披露される歌と郷土愛あふれるトークに、会場中が魅了されました。最前列では、長年のファンとおぼしき方々が、扇子を振って声援を贈っていました。新型コロナウィルスの影響で、水前寺さん自身久しぶりのステージだったそうで、緊張している自分の胸の内を素直に語られていました。このオープンな人柄が、たくさんの人から愛され続ける理由なのでしょう。水前寺さんの力強い歌声に、会場中が明るい雰囲気に包まれ、マスク越しでも皆が笑顔になっているのが分かりました。

 続いて、真城義麿氏の記念講演が始まりました。

  

 慶讃法要テーマ「南無阿弥陀仏 人と生まれたことの意味をたずねていこう」でありますが、そのことをどこにたずねていくのか、という問いを「聖空間の回復を」という言葉を糸口に進めていかれました。“聖空間”とは、あらゆる人は存在そのものとして尊いとする完全平等、比べない世界で、一例として伊藤忠商事の創業者伊藤忠兵衛の取り組みとして、職場での朝夕の勤行のことを挙げられました。伊藤忠兵衛は、丁稚が畳の間に上がれなかった時代に、朝夕には正信偈のお勤めをして、すべての奉公人に完全平等の時間・場を作られたそうです。商売を菩薩行とした伊藤忠兵衛らしいエピソードです。そのような視点を持って仕事をすれば、会社にも世間にも貢献する仕事が出来るのではないでしょうか。

 次いで釈尊の“天上天下唯我独尊”という言葉について、「あなたはありのままでいい」という承認の意味であると同時に、「あなたは人生を尊く生きていますか?」という問いかけでもあると教えられました。長年、中高生の教育に携わってこられた真城氏の法話は、言葉が明瞭でテンポ良く、時折まわりから、頷きや笑い声が聞かれました。久々に聞法の場に身を置いていることを実感しました。

 プログラムの最後、荷堂岳主査(九州教区お待ち受け大会に関する小委員会)によるご挨拶では、本日の参加者への感謝と、御門首・随行の方々への謝辞が伝えられました。

 また、今回の大会が全国最初のお待ち受けであったこと、これから九州各地で慶讃法要が開催されること、6年前の震災にご自身も未だに痛みを感じていること、そして色々な方たちの痛みや喜びをともに抱え寄り添いながら、九州教区として歩んでいきたいという志を述べられ、なかなか実感が伴わなかった“九州教区”が、改めてここからスタートしたように感じました。

 今回の大会は、九州各地で役割分担をし準備がなされ、会場に足を運べなかった方でも参加できるよう、ユーチューブによる動画の生配信も行われました。

 また、大谷保育協会九州連区、九州大谷短期大学にもご協力頂き、成し遂げられたご縁でありました。

 真宗本廟(東本願寺)での慶讃法要は、2023年3月25日から4月14日にかけて開催されます。九州教区では、2026年の慶讃法要および薩摩真宗禁制解禁150年を皮切りに、佐世保、四日市各別院にて開催される予定であります。教区テーマである“生活を聞法の場に”していくことが、これからの私たち“真宗門徒”が賜ったお役目だと、そのようにいただいたお待ち受け大会でありました。

九州教区 広報部門員 下津 悦子

【いただいた感想】

◎九州教区として、初の大きな行事だったので、九州一円の広がり、繋がりを感じました。(鹿児島・女性)

◎新型コロナウィルス感染の不安を抱えながら、開催日以前から準備され、当日も朝早くから準備してくださったスタッフの方、お疲れ様でした。感染増加で参加に不安がありましたが、中止せずに開催されたことに感謝です。(全地域)

◎真城先生の法話が、言葉がはっきりして聞きやすく、ちょうど良い時間配分だった。ありがとうございました。(大分・男性)

◎孫が花まつりのパレードに出るので、こういうイベントに初めて参加しました。先頭で旗を持つお坊さん達が格好良く、仏教に関する印象が良くなりました。(熊本・女性)

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「2023年度 非核非戦法要」勤修

長崎への原爆投下から78年を迎えた2023年8月9日。13時30分から長崎教会(長崎市筑後町9‐23)を会場に「非核非戦法要」が勤修された。 今年は台風6号の接近のため、参加予定であった方々には急遽ご遠慮いただき、長崎教会近隣の寺院の方々に出仕をいただき、また全日程についてはオンライン配信を行い、中止することなく勤修された。 例年、長崎教会境内地内にある「非核非戦」の碑前にてお勤めを行った後、本堂において開会の運びとなるが、強風・悪天候により堂内でのお勤めとなった。 勤行の後、沖縄県の照屋隆司さん(沖縄別院総代)から、「沖縄の米軍基地に関すること」(1.基地と憲法、沖縄から見

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冊子・パンフレット

広報誌『聲(Voice)』

九州教区では、年に一回、広報誌『聲(Voice)』を発行しています。 ぜひご覧いただき、皆様の「聲」をお聞かせください。

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九州教区 慶讃法要お待ち受け大会 オンライン参拝

 お待ち受け大会後、広報部門に「自坊でオンライン参加した」という情報とその様子を撮った写真をいただきました。新型コロナウィルスの流行で、一般的になりつつあるリモートですが、具体的にどのようにして開催したのか、大分東組・浄龍寺の手嶋暁史さんにzoomでインタビューさせていただきました。 Q.今回、どうしてリモート参拝を計画されたのですか?  そもそものきっかけは、御門徒さんの「本山の坂東曲を見てみたい」という声でした。お参りに行きたいけれど長時間座っていることが身体的に厳しいという言葉に応え、コロナで報恩講ライブ配信をすると聞いて、リモート視聴できる環境を整えました。 お待ち受け大会は、大

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