魂を救う時間はあるよ(映画「ゴッドファーザーⅢ」より)

物語の主人公、イタリア系マフィアのボス、マイケル・コルレオーネは、とある相談のためにカトリック教会のランベルト枢機卿を訪ねます。憔悴しきったマイケルの姿に、枢機卿は懺悔を勧めますが、マイケルは「もう30年も懺悔などしていません。一体どこからはじめればいいのか、私の罪は神の救いを超えています。お時間を取らせることになります。」と辞退を申し出ます。それに対して枢機卿は即座に応えます。「魂を救う時間はあるよ」

このシーンをはじめて見たとき、僧侶である私はハッとさせられました。

日々の法務(月命日、法事、葬儀、境内の掃除など)や事務仕事に追われる私に、枢機卿の言葉が問いかけます。「宗教者として大切なことを忘れていないか、目の前にいる人とちゃんと向き合えているか」と。

私に魂を救う力はありませんが、話を聞くことならできるのではないかと考えました。しかし、心に秘めた苦悩を誰彼構わず打ち明ける人などいるでしょうか。相手への信頼あってのことでしょう。では信頼に値する人とはどんな人なのでしょう。

私たち浄土真宗の宗祖、親鸞聖人は、多くの門弟たちを抱えながらも、「親鸞は弟子一人ももたずそうろう」『歎異抄』第六条(真宗聖典628頁)と述べられました。阿弥陀如来(ご本尊)の前では、誰もが煩悩を抱えた凡夫であり、一仏弟子。阿弥陀如来が救うと誓われた尊い存在として、すべての人を敬われました。

目の前の方を敬う親鸞聖人の姿に、この人なら私のことをわかってくれると、多くの人が心を開いたのでしょう。

親鸞聖人をはじめ、無数の念仏者が、本願念仏の教えにわが身を聞いて生きよと、私に呼びかけてくださっています。

蓮尾 康行

MONTHLY

今月の言葉

今月の言葉28

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今月の言葉27

日本でも哲学者として有名なカントは1724年に東プロシアの首都ケーニヒスベルク(現在のロシア領カリーニングラード)に生まれ、1804年に衰弱死によってその生涯を終えました。彼の生まれた時代はヨーロッパの各地でひっきりなしに戦争が起きていました。71歳のカントが『永遠平和のために』を著したその背景にはやむにやまれぬ思いがあったことでしょう。 2022(令和4)年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻を開始しました。当初、この原稿を書く頃には戦争は終わっているものだとばかり思っていました。それはロシアやウクライナ、さらにはその他の諸外国も同じ思いだったかもしれません。しかし実際には戦況は長引き

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今月の言葉26

私たちは誰もが「生まれたものは死に往くもの」とは知っていても、死を抱えて生きているという実感がないのが事実です。死はこの身において成熟するものと言われますが、まことにその通りだと言わねばなりません。 私はこの歳になって初めて老眼を体験しました。まさに我が身が老いゆくもの死にゆくものであるという事実を突きつけられました。まさに死を抱えて生まれてきたという事実を分かったつもりでいる人間的未熟さを感じずにはおれませんでした。 人間は、いつまでも生きたいとおもう心によって死を逃れようとし、若さを誇って老いゆくことを厭う。そこに私たちの生に対する不安や苦悩が現れます。 しかし、それらの

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