「実るほど頭を垂れる稲穂かな」(作者不詳)

 暑さが過ぎ去り台風も過ぎ去り稲穂が実る時期となりました。稲穂が実る姿を見ると

「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉を思い出します。

 実れば実るほど、まるで有難うとお辞儀をするかのように稲穂が垂れ下がる様子を詠んだ句です。

 あらためて、普段の自分の姿が頭を垂れる稲穂の姿とかけ離れていると実感します。

 どうしても、自分がこれまでした経験や価値観を正しいと思い込み、頭が下がらずいつの間にか傲慢になっている私がいます。

 親鸞聖人はご自身のことを「愚禿」と名乗っておられます。

 『愚禿鈔』には「愚禿が心は、内は愚にして外は賢なり」(真宗聖典p423)と書かれており、

 「私の心は外見では賢く振舞っているが、その中身は煩悩にまみれ、愚かである」という意味です。

 多くの研鑽を積まれてこられた親鸞聖人が「愚禿」と名乗られたお姿こそ「実るほど頭が下がる稲穂かな」の句に当てはまるのではと思います。

 

加藤 恵

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