兵戈無用(兵隊も武器も用いること無し) (『真宗聖典』78頁 「仏説無量寿経」巻下)

先日、ロシアがウクライナに武力侵攻を開始しました。それを契機に、日本の政治家や評論家が抑止力という名目で、公然と憲法九条、非核三原則を揺るがす「核共有」政策(核保有国が核兵器を同盟国と共有すること)の検討を訴えています。
戦争はいつも互いに相いれない正義と正義のぶつかり合いによって引き起こされます。しかし、いかなる正義であっても、血の流れる行為は許されません。
かつての戦争で、私たち真宗大谷派は、み教えを曲解し、阿弥陀仏の本願の名のもとに、多くの若者を戦地へと駆り立て、あらゆる人々を悲しみの底に突き落しました。
その過ちを二度と繰り返さぬよう、戦後50年を経た1995年、慙愧の念をもって不戦決議を、さらに非戦決議2015を宗議会(僧侶議員で構成)・参議会(門徒議員で構成)にて採択、内外に発信し続けてきました。
改めて私たちは念仏者として声を上げます。

    兵戈無用。

       (『真宗聖典』78頁 「仏説無量寿経」巻下)

 いかなる理由があろうとも、兵隊も武器も必要ありません。

蓮尾 康行

MONTHLY

今月の言葉

今月の言葉32

 先日ここ3、4年会えていなかった友人が亡くなったと連絡がありました。その瞬間深い悲しみに包まれましたが、その後徐々に私に湧いてきた感情は、その訃報を届けてくれたその友人の妻に対する感謝の思いでした。「ありがとう」とここまで心の底から思ったことはありません。  私たちが日常的に使う「ありがとう」という言葉は、もともと「有り難し」から来ていて「存在することが難しい。滅多にない」という意味です。人から受ける恩もそれが当たり前だと鈍感になれば、口では「ありがとう」と言っても、ただのあいさつとなんら変わりません。ただ私たちは生死の問題の前に立つと、普段当たり前だと思ってしまうものの「有難さ」に気づか

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MONTHLY

今月の言葉

今月の言葉31

 近年、LINEやメールなどSNSを使うことから、年賀状を作って送る人が減っていると聞く。新年に配送される年賀状を見て、久しぶりに思い出す懐かしい顔も多い。その年賀状には、“今年こそ、今年こそ”の文字をよく見かける。その言葉を見ると、思いをこえて生まれながら、なんでも思いどおりにしようとする人間・私のすがたが照らされているように感じる。  私たちの人生は、思い通りにならないものなのだとあらためて教えてくださる。もちろん、自分の努力で思いが叶(かな)うことは多少なりともあるだろう。  しかし、身の事実をはじめ、多くは思いどおりにならないことばかりではないだろうか。また、自分の思いどおりになっ

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MONTHLY

今月の言葉

今月の言葉30

 標記のご法語は、親鸞聖人のお書きになられた『教行信証』のはじめにあるおことばです。  私はお寺に生活しておりますので、日頃よりご門徒さんと一緒にご法事や祥月命日などのお参りをさせて頂いておりますが、そのなかで、最近あらためて考えさせられることがあります。それは、法会の場で目の前にお座りになられているご門徒さん方がこうやって手を合わせられる、そのご縁を作ってくださっている方々のことです。先にお浄土にかえられたおじいちゃんやおばあちゃんかもしれません。お父さんやお母さんのお姿かもしれません。あるいはお盆やお彼岸などでお参りされる方の姿かもしれません。そういった「南無阿弥陀仏」と手を合わせる方々

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