今月の言葉 9

真宗大谷派九州教区
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今月の言葉 9

2020.04.03

我必ず聖にあらず彼必ず愚かにあらず共に是れ凡人(ただひと)ならくのみ
『十七条憲法』 聖徳太子

ニュースや新聞は新型コロナウイルスの報道ばかりです。不要・不急の外出自粛で家族と過ごす時間が多くなっているのではないでしょうか。
さて、聖徳太子は御存知のように仏教に深く帰依され、役人の心得を記した『十七条憲法』にも仏教の影響が色濃く見受けられます。その第十条に上記の一文があります。私達は人と向かい合う時、どうしても相手に優劣や分別をつけながら接してしまいます。相手が自分より劣っていると判断した途端に、相手の声が聞こえなくなってしまいます。聖徳太子はそのような人間の傲慢さを戒めたのではないでしょうか。仏の智恵に照らし出された我々人間は、共に凡夫の身であるという仏教的な平等性がこの背景にはあります。
ところで、この戒めは何も役人の為だけに存在している条文だとは思えません。私達の様々な人間関係に当てはまるのではないでしょうか。新型コロナ禍によって、私達を取り巻く環境が一変しようとしています。だからこそ、今一度目の前に居る人と向き合う時に自身が如何なる立場に居るのかが問われるのではないでしょうか。

(大城 史雄)