今月の言葉30
2022.12.16
「たまたま行信を獲ば、遠く宿縁を慶べ」
『教行信証』総序(真宗聖典149頁)
標記のご法語は、親鸞聖人のお書きになられた『教行信証』のはじめにあるおことばです。
私はお寺に生活しておりますので、日頃よりご門徒さんと一緒にご法事や祥月命日などのお参りをさせて頂いておりますが、そのなかで、最近あらためて考えさせられることがあります。それは、法会の場で目の前にお座りになられているご門徒さん方がこうやって手を合わせられる、そのご縁を作ってくださっている方々のことです。先にお浄土にかえられたおじいちゃんやおばあちゃんかもしれません。お父さんやお母さんのお姿かもしれません。あるいはお盆やお彼岸などでお参りされる方の姿かもしれません。そういった「南無阿弥陀仏」と手を合わせる方々のお姿が重なり重なりして、今の私たちがあるのではないでしょうか。
この法語の後には、「遇いがたくして今遇うことを得たり。聞きがたくしてすでに聞くことを得たり」ということばが続きます。親鸞聖人は、阿弥陀仏の本願を信じて念仏申す身となったのは、自分の力ではなく、ずっと昔からの因縁によるものであって、阿弥陀様に願われ続けてきたからなのだと深い慶びをもって語られます。
法会にあい、手を合わされるご門徒さんのお姿に、遠くご縁を届けてくださる方々のあることを思わずにはおれません。合掌
齊藤 曉雲