今月の言葉31

真宗大谷派九州教区
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今月の言葉31

2023.01.10

「“今年こそ” “今年こそ” との年賀状」
~思い通りにならないことを教えられる~

 近年、LINEやメールなどSNSを使うことから、年賀状を作って送る人が減っていると聞く。新年に配送される年賀状を見て、久しぶりに思い出す懐かしい顔も多い。その年賀状には、“今年こそ、今年こそ”の文字をよく見かける。その言葉を見ると、思いをこえて生まれながら、なんでも思いどおりにしようとする人間・私のすがたが照らされているように感じる。

 私たちの人生は、思い通りにならないものなのだとあらためて教えてくださる。もちろん、自分の努力で思いが叶(かな)うことは多少なりともあるだろう。

 しかし、身の事実をはじめ、多くは思いどおりにならないことばかりではないだろうか。また、自分の思いどおりになっている時には感謝をするが、そうでなければ責任転嫁(せきにんてんか)をしたり、〝なんで私だけが〟と嘆(なげ)くこととなる。

 私たちは、数え尽くせないほどの不可思議(ふかしぎ)なご縁によって今ここに在(い)る。思いをこえて生まれてきたという尊さに目覚める時、思いどおりにしようとする人生の中にあって、縁(よ)って起こる出来事を大切にする生き方が始まるのではないだろうか。

信國  眞一