今月の言葉7
2019.12.27
憎しみは憎しみによって止まず、 愛によってのみ止む
『法句経』(ダンマパダ)
2019年12月4日、医師でペシャワール会現地代表の中村哲さんが亡くなった。
医療支援を目的にアフガンにわたるも、食糧難や紛争の惨状を目の当たりにし、「百の診療所より1本の用水路を」と、砂漠化した土地に水路を引き、潤う緑の大地がよみがえった。
「武器ではなく、いのちの水を」とはETV特集のタイトルであるが、銃弾に倒れた中村さんを思う時、憎しみではなく、私たちは何を大切にすべきか。あらためて問いたい。
中村さんは、クリスチャンであったそうだが、人と人とが認め合い、喜びを分かち合う世界を願うことに、宗教や宗派という垣根は越えられると信じたい。
ちなみにこの言葉は、「サンフランシスコ講和条約」で日本が膨大な戦後賠償を求められたとき、当時のセイロン代表で後の初代スリランカ大統領ジャヤワルデネ氏が演説で引用。この演説があったからこそ、戦後の日本の経済成長が成り立ったとも言われている。
(溝邊 伸)