今月の言葉 21
2021.05.07
自分を苦しめず、人を傷つけない言葉のみを語りなさい
テーラガーター
私たちは何かに傷つけられたり、悲しさや寂しさを感じるとき、「人に知られたくない」、「周りにいる人たちを心配させてはいけない」、このような思いから我慢することがあります。
我慢してじっと耐えること、それ自体は何も悪いことではありません。けれども、無理に我慢しているとその悲しみはだんだん大きくなって、やがてそれは怒りとなり、相手を傷つけたり、他の誰かに八つ当たりすることがあります。怒りをぶつけられた相手の怒りはまた他の誰かに向けられますことになります。
怒りを誰かにぶつければ、その一瞬は気持ちよく感じます。ではその後に空しさのような感覚を覚えるのはなぜでしょう。怒りをぶつけられた相手の心は傷つきますが、なによりも自分の心が傷ついているのではないでしょうか。
お釈迦さまは「よい言葉」を話すように言われています。よい言葉とは「自分を苦しめず、人を傷つけない言葉」です。人を傷つける言葉はそのまま自分を傷つけます。自暴自棄になって自分を傷つけることは周りの人たちを悲しませます。
自分が悲しい思いや寂しい思いをしているときは誰でも人を傷つけたくなります。裏返せば、まず自分を大切にしなければ他の人を大切にできません。これはあらゆる人に願われていることです。それは阿弥陀さまの願いであり、他の誰よりも阿弥陀さまに願われているということを忘れないでください。
(蓮井智道)