目の前の方を
ただの人と思うなよ高橋 卯平

はじめてこの言葉を聞いた時、ガツンとやられた気がした。

居て当たり前、やって当たり前、出来て当たり前。

普段そんなふうに家族を見ている私に、卯平さんの言葉が突き刺さる。

「あんた、何様?」

私が本尊と仰ぐ阿弥陀さまは、生きとし生けるものすべてを救うと誓って仏さまになられた。

もちろん私の目の前の方もそのひとり。それを見下すとはあんた何様ですか?と。

感謝の気持ちが微塵もない自己中な私。穴がなくても掘って入りたい気分です (ToT)/~~~

 

高橋 卯平

北海道士別の農家の人。宮城県で代々「念仏高橋」と呼ばれた家に生まれる。

今回ご紹介した言葉は、卯平さんが親の遺言と称して事あるごとに語られたという言葉です。

参考資料『坊主は乞食だぞ』林 暁宇著(樹心社)

 

(蓮尾 康行)

MONTHLY

今月の言葉

今月の言葉32

 先日ここ3、4年会えていなかった友人が亡くなったと連絡がありました。その瞬間深い悲しみに包まれましたが、その後徐々に私に湧いてきた感情は、その訃報を届けてくれたその友人の妻に対する感謝の思いでした。「ありがとう」とここまで心の底から思ったことはありません。  私たちが日常的に使う「ありがとう」という言葉は、もともと「有り難し」から来ていて「存在することが難しい。滅多にない」という意味です。人から受ける恩もそれが当たり前だと鈍感になれば、口では「ありがとう」と言っても、ただのあいさつとなんら変わりません。ただ私たちは生死の問題の前に立つと、普段当たり前だと思ってしまうものの「有難さ」に気づか

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MONTHLY

今月の言葉

今月の言葉31

 近年、LINEやメールなどSNSを使うことから、年賀状を作って送る人が減っていると聞く。新年に配送される年賀状を見て、久しぶりに思い出す懐かしい顔も多い。その年賀状には、“今年こそ、今年こそ”の文字をよく見かける。その言葉を見ると、思いをこえて生まれながら、なんでも思いどおりにしようとする人間・私のすがたが照らされているように感じる。  私たちの人生は、思い通りにならないものなのだとあらためて教えてくださる。もちろん、自分の努力で思いが叶(かな)うことは多少なりともあるだろう。  しかし、身の事実をはじめ、多くは思いどおりにならないことばかりではないだろうか。また、自分の思いどおりになっ

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MONTHLY

今月の言葉

今月の言葉30

 標記のご法語は、親鸞聖人のお書きになられた『教行信証』のはじめにあるおことばです。  私はお寺に生活しておりますので、日頃よりご門徒さんと一緒にご法事や祥月命日などのお参りをさせて頂いておりますが、そのなかで、最近あらためて考えさせられることがあります。それは、法会の場で目の前にお座りになられているご門徒さん方がこうやって手を合わせられる、そのご縁を作ってくださっている方々のことです。先にお浄土にかえられたおじいちゃんやおばあちゃんかもしれません。お父さんやお母さんのお姿かもしれません。あるいはお盆やお彼岸などでお参りされる方の姿かもしれません。そういった「南無阿弥陀仏」と手を合わせる方々

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