コラム

九州教区 慶讃法要お待ち受け大会 オンライン参拝

 お待ち受け大会後、広報部門に「自坊でオンライン参加した」という情報とその様子を撮った写真をいただきました。新型コロナウィルスの流行で、一般的になりつつあるリモートですが、具体的にどのようにして開催したのか、大分東組・浄龍寺の手嶋暁史さんにzoomでインタビューさせていただきました。

Q.今回、どうしてリモート参拝を計画されたのですか?

 そもそものきっかけは、御門徒さんの「本山の坂東曲を見てみたい」という声でした。お参りに行きたいけれど長時間座っていることが身体的に厳しいという言葉に応え、コロナで報恩講ライブ配信をすると聞いて、リモート視聴できる環境を整えました。
お待ち受け大会は、大分東組で団体参拝が難しいと意見が出て、オンライン配信の要望を出していました。

Q.何名ほど参加されたのでしょうか?

 5名くらい来れば良いかなと思っていたのですが、門徒さんが声をかけあって20名弱来られました。

Q.参加された方はどのような年齢層でしたか?

 60~70代位の方たちでした。

Q.お勤めはなさったのですか?

 勤行が始まると、どこからともなく自然に声が上がってお勤めが始まりました。組で勤行練習をしていたので、お勤めする土台が出来ていたのでしょう。
法事に伺うときも、お子さん用にお勤め本を用意するよう心がけています。

Q.これまでの取り組が実を結ばれたのですね。素晴らしい!リモート参拝にあたり、ハード面の準備が大事だと思うのですが、どのように機材を設置されたのですか?

 はい、順を追って説明します。

① 浄龍寺は、1F会館・2F本堂という構造になっている。
ソーシャルディスタンスを取っていただくため、参拝者が1F会館でもお参りできるように、Wiーfiが通るようにした。

②1F会館にモニター代わりに50インチ大型テレビを置き、2Fの本堂から1Fに有線でビデオカメラを繋げて、会館で本堂の御法話を見られるようにした。

③更に本山のライブ配信等を見られるようにするため、ストリーミング端末(物に依るが1万円ほど)を用意して(手嶋氏はAmazonTVStickを使用)、テレビでユーチューブが見られるよう設定した。

 新型コロナウィルスの影響で、遠く離れた本山報恩講のYouTube参拝が適うようになったので、いつか門徒さんと一緒に見たいと思い、視聴環境を整えていました。そんな中、九州教区のお待ち受けが配信されるという事になったので、

Q.門徒さんへの案内はどのようにされたのですか?

 婦人会長さんにお願いして、興味がありそうな方に電話していただきました。公の行事としてではなく、お気軽にとお誘いしました。法要というと、お志を持って行かねばと構えられたりするので、お茶菓子も用意しないでペットボトルのお茶だけお渡ししました。人とふれ合う機会が減ったためか、お連れ合いをなくした「おひとりさま」が、反応して来てくださって、とても喜ばれました。

Q.皆さんの反応はいかがでしたか?

 水前寺清子さんのコンサートに関しては「懐かしい」と楽しんでおられるご様子でした。真城先生のお話も聞きやすいと久しぶりのご法座を喜んでおられました。個人的には、真城先生の法話はちょうど良い長さだと感じました。モニター越しだと1時間超はしんどいですね。配信の時も休憩を入れた方が良いと思います。

Q.そうなのですね。最近、自坊でも報恩講御法話のあと、門徒さんから「話が長すぎて腰が痛くなった」と、言われたことがあります。コロナで社会に急激にリモート化が進んでいますが、手嶋さんはリモート化についてどのように思われますか?

 僕はリモート化が進んで、色々な動画がアップされるようになって“住職だけが頑張らないで良いんだ”と、思いました。しかしながら、所詮どこまでいっても“便利な道具”に過ぎないので、自分が突き当たっている問題を100%解決してくれるわけではありません。
結局のところ、会を開くこちら側のやる気の問題であったり、一緒にお勤めしたいという気持ちがあるか、目的や何かを伝えたいという情熱があるかだと思います。どんどん活用していって良いと思うんですけれど、全部それに移行して良いのかって言われるとそうではない。難しいんですよ。
パソコン自体もそうですけれど、あくまで使う側の問題なので、届けたい人は使って良いかなと思うんですが、この業界自体が社会変化に対応するのがゆっくりな業界ですからね・・・今回の大会も同時視聴数が20人だったので、動画の視聴者数をどう増やしていくかが課題じゃないでしょうか。
いろいろな方とつながれるツールなのは間違いないので、何をしたいか、伝えたいかという情熱があるか、目的を明確にしているかどうかが大事だと思います。

Q.手嶋さんのお伝えくださったリモート活用方法が、他の寺院の教化活動に生かせる参考になればと思います。ありがとうございました。

 インタビュー後、手嶋氏との雑談の中で“枯れた技術の水平思考”という言葉を伺いました。任天堂のゲーム開発者・横井軍平氏の言葉で、「すでに広く使用されメリット・デメリットが明らかになっている技術を、その物の本来の使い方にとらわれず新しい角度から様々な使いかたをする」ことで、更なる新商品・技術を生み出すという開発理念だそうです。まだまだ寺院では一般に敷衍しているとは言いがたいリモート技術ですが、今後誰でも使いやすい状態になっていったとき、教化や法要の在り方にどのような変化をもたらすのだろうかと、考えさせられました。「YouTube配信によって、法要が軽く扱われはしないか?」という声もあると聞きますが、しかしながら手嶋氏の言われるようにリモート配信は“目的・情熱”を形にする手段のひとつに過ぎません。私たち自身が教えに、法要にどのような意識で向かい合っているのか?技術をどう扱うか以上に、その事を問われているのだと気付かされたインタビューでした。

九州教区 広報部門員 下津 悦子

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「2023年度 非核非戦法要」勤修

長崎への原爆投下から78年を迎えた2023年8月9日。13時30分から長崎教会(長崎市筑後町9‐23)を会場に「非核非戦法要」が勤修された。 今年は台風6号の接近のため、参加予定であった方々には急遽ご遠慮いただき、長崎教会近隣の寺院の方々に出仕をいただき、また全日程についてはオンライン配信を行い、中止することなく勤修された。 例年、長崎教会境内地内にある「非核非戦」の碑前にてお勤めを行った後、本堂において開会の運びとなるが、強風・悪天候により堂内でのお勤めとなった。 勤行の後、沖縄県の照屋隆司さん(沖縄別院総代)から、「沖縄の米軍基地に関すること」(1.基地と憲法、沖縄から見

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広報誌『聲(Voice)』

九州教区では、年に一回、広報誌『聲(Voice)』を発行しています。 ぜひご覧いただき、皆様の「聲」をお聞かせください。

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