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今月の言葉

今月の言葉 17

『蓮如上人御一代記聞書』は、本願寺中興の祖である蓮如上人の言行録です。蓮如上人は毎日拝読している『御文』でお馴染みかと思いますが、『御文』にも、この御一代記聞書の中にも、なかなか僧侶にとって耳が痛い言葉があります。 この言葉は聞法についての姿勢を言っておられます。 聞法はどこまでも我が事を言い当てて下さっていると聞いていくものですが、ややもすれば、自分を棚上げして、諸々の事だと思ったり、誰々に聞かせたい等々。さらに僧侶の立場になるともっと悪質で、我が身に聞くどころか、何か自分で話すときの参考として聞いているのである。 そんな自分の聞法の姿勢を言い当てら

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今月の言葉

今月の言葉 16

朝日新聞(2020年12月3日)のインタビューより。 コロナ感染症の対策のために、医療機関や福祉施設では面会が規制される中、家族と一度もあえないまま死別する例が多くなっている。 突然の死別に、あいまいな喪失感を抱き葛藤に苦しむ家族を取材してきたノンフィクション作家の柳田氏は、「その場で手を握り、体をさすり、耳元で声をかける。ぬくもりが言わば『心の血流』となって伝わります」「コロナ患者を受け入れた病院が感染防止だけを考えるなら、患者と会いたい家族は邪魔になる。科学主義を突き詰めればそれが結論です。でもたとえ重症化した人でも、ウイルスと治療の拮抗関係の中にだけ生命がある

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今月の言葉

今月の言葉 15

わたしたちは、なるべく悲しみには出会わずに日々を楽しく生きたいと、つい非現実的な在り方に埋没しそうになります。 そういう風に、明るく元気に、そして病気をせず長生きすることが美徳だと思えば思うほど、死に往かなければならない我が身を嘆き、そのことを思う度に苦しまなければなりません。 それは自ら造った苦しみに自らが苦しめられていることになるのです。 わたしたちは「生あるものは死に帰す」という『無常の道理の中に生まれた自分』であるということを受け入れられないが故に苦しんでいます。 ですから、生死の苦しみから逃れるという在り方は、現実的ではないのです。 むしろそれを

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今月の言葉

今月の言葉 14

新型コロナの感染対策が最も求められているのが、医療機関や福祉施設。 もし感染すれば重症化する可能性が高いということで、面会も最小限に制限されています。 特に入院生活では、不安な気持ちで過ごす方がほとんどでしょう。そんなとき、家族や友人の面会や励ましが、なんと温かいことか。 しかし今、多くの病院や施設で面会が制限され、ベッドの上で、孤独を抱えている人がいます。 私は何ができるのか。そんなことを考えていたら、金子みすゞさんのこの詩が思い出されました。 さびしいとき 私がさびしいときに、 よその人は知らないの。 私がさび

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今月の言葉

今月の言葉 13

志慶眞文雄さんのインタビュー記事(『同朋新聞』2018年10月1日号)の言葉です。 志慶眞さんは、沖縄県で小児科医院を営みながら、聞法道場を開催されています。医学部時代、広島大学会館で行われていた細川巌先生(当時、福岡教育大学名誉教授)の「歎異抄の会」に参加。その際、細川先生から「死んでいく虚しさが超えられないのは、あなた自身の問題だからではないのか」と問われ、ハッとしたそうです。 「目の前のやるべき対象を変えることで生死の問題を解決しようと四苦八苦してきましたが、はじめて、実は自分自身の問題だったと気づかされたんです」と志慶眞さん。その後、沖縄に帰り、妻に「もう一度真宗の教えを聞

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今月の言葉 12

朝日新聞で鷲田清一氏が連載している『折々のことば』(2020年8月26日朝刊)から。 ナチス時代のユダヤ人迫害から現代の酷薄な差別発言まで、人はなぜ「正義」を装い、嬉々として少数者を排撃するのか。ポイントは、権威を後ろ盾にした「責任からの解放」にあると社会学者は言う。 つまり責任を負うべき〈顔〉を隠せること。匿名でしか声を出せない人は、他者を属性でしか見られない。何より自身がもはや属性でしかないから。『ファシズムの教室』から。

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今月の言葉

今月の言葉 11

この言葉は1998(平成10)年に勤修された、蓮如上人500回御遠忌のテーマです。当時本山に勤務していた私は、このテーマ発表の場に携わらせていただきました。 東本願寺の御影堂には大スクリーンが設置され、時の能邨英士宗務総長が、映し出されたこのテーマを発表すると、堂内にどよめきが起こりました。 このような宗門内外のテーマといえば、「ともに」「同じく」「一心」といったような、心を一つにしてというような言葉がそれまでは多かったように記憶しています。 一般的に「バラバラ」という言葉は、物が壊れたり、人と人との関係性が崩れたりするときに使う文言であり、宗門が外に発信する

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今月の言葉

今月の言葉 10

私の思い込みを振りかざし、娘や妻のこころを深く傷つけていたことに気づかされたとき、このご和讃を思い出しました。 作家の高史明さんは、中学生の息子さんを自死で失くされた体験から生まれた著作『「ことばの知恵」を超えて―同行三人』(新泉社)に、このご和讃を引かれ、人間中心の知恵の闇を語ってあります。私は自分の「ことばの知恵」に酔い、のぼせていたことを、身近な人の笑顔が消えたことで知らされたのでした。 人間は多かれ少なかれ言葉の知恵を善として優劣を競い、より快適な生き方を求めることが正しいと考えていると思います。 けれども自分の言葉の知恵を疑うことなしに正しい

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今月の言葉 9

ニュースや新聞は新型コロナウイルスの報道ばかりです。不要・不急の外出自粛で家族と過ごす時間が多くなっているのではないでしょうか。 さて、聖徳太子は御存知のように仏教に深く帰依され、役人の心得を記した『十七条憲法』にも仏教の影響が色濃く見受けられます。その第十条に上記の一文があります。私達は人と向かい合う時、どうしても相手に優劣や分別をつけながら接してしまいます。相手が自分より劣っていると判断した途端に、相手の声が聞こえなくなってしまいます。聖徳太子はそのような人間の傲慢さを戒めたのではないでしょうか。仏の智恵に照らし出された我々人間は、共に凡夫の身であるという仏教的な平等性がこの背景には

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今月の言葉 8

新型コロナウイルスの感染が確認されたクルーズ船に対しての日本政府の対応が批判される中、ネットや巷の声に「なぜ日本が批判されなければならないのか」「そもそも船はよその国の船ではないか」「中国人がもってきたウイルスではないか」「中国人が持ってきたウイルスで日本が批判されるのは腹が立つ」「入れさせるな、さっさと帰れ」等の声がありました。 もしも、あの船に中国人の友だちが乗っていたら、どう思うでしょう。また、家族が乗っていたら、知り合いがいなかったとしても、目の前で苦しんでいる人を見たら、それが我が子と同じ年頃の人だったら、「助けてください」と言っている人を前にして、「さっさと帰れ」と言

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